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人生の半分はイライラしていた私 嘘のように穏やかになった理由 - 読売新聞

 東京で子育てに奮闘する元ヤンキーの専業主婦、アッコさん(27)にとって、深刻な悩みとなってきたのが、生理前のイライラなのだそう。出産後はさらに症状がひどくなり、「このままでは娘のためにも良くない」というところまで追い込まれます。読売新聞オンラインの人気連載「元ヤン子育て日記@TOKYO」。今回は、女性特有の悩みについて。

 以前、夫と娘がディズニー映画「塔の上のラプンツェル」を見ていたときのこと。

 「ラプンツェル、なんか、ママみたいだねぇ」
 夫が突然、ケタケタ笑いながら娘に話しかけた。

 ん? 私がプリンセス? そんなガラじゃないよなぁと思いながら、画面に目を向けると、そこに映っていたのは、ラプンツェルが極限状態でテンパっている場面だった。

 長年、塔の上で暮らしていたラプンツェルはある日、塔を離れて外の世界に出るのだけど、その瞬間、うれしさと不安の両方が心の中でぐちゃぐちゃに交錯して、「あーでもない」「こーでもない」ってパニックになる。

 夫はその様子が私にそっくりだ、と言いたいらしい。
 娘に向かって、なんてことを!
 一瞬、カチンと来たが、私にも自覚がないわけではない。

 私は毎月、生理の2週間前ぐらいから、激しい情緒不安定になるのだ。

 誰にどんなフォローをしてもらっても全くムダ。楽しいことをしていても、何かのきっかけで突然スイッチが入って、機嫌が悪くなる。「私にかまうなぁー!」ってヒートアップし、自分では抑えようもない。

 生理が始まると、昨日までの精神状態が(うそ)のように穏やかになるけれど、また2週間後にこの状態がやってくる。だから初めて生理がきてからの人生の半分はイライラしていたことになる。

 結婚後もそれがきっかけでよく夫とけんかをした。皿を割るぐらいならまだましで、夫にフライパンを投げつけたこともあったような……。

 夫からは「生理前のイライラが原因で、素行が悪くなったのかも」って冗談めかして言われたことがあるけど、少なくとも、ほかの女性は何とか耐えているであろう「イライラ」を抑えきれない自分はダメな人間だと思っていた。

 厄介なことに、このイライラは娘の出産後、さらにひどくなった。産後うつ気味だったことに東京という不慣れな環境が相まって、生理前の2週間は地獄と化した。

 とにかく、気分がジェットコースターのように浮き沈みする。
 しかも、娘がいるから、怒ってまわりに当たり散らすこともできない。

 その結果、怒りに代わってわいてきたのは、不安や心配。突然、「私なんてどうせ……」って自分がイヤになって、ひどいときには、お出かけ中に道ばたで突然、泣き出してしまったこともあった。

 ワンオペ育児で、娘と家に二人きりでいる時間が長いのに、私の心がこんなに不安定でいいわけがない。それは、子育てにおける深刻な悩みの一つになった。

 これまで生理前とはそういうものだ、と半ばあきらめてきたのだけど、何とかできないか、と調べてみたら、すぐに「PMS」という言葉に行き着いた。このイライラ、実は「Premenstrual Syndrome(月経前症候群)」という立派な名前がついていて、症状がひどい人は医師の治療を受けることもあるらしい。

 しかも、低用量ピルなどで、症状が落ち着くという情報もある。「気性が荒く、落ち込みやすい」のは自分の性格の問題だと思っていたけど、これは何とかなるかもしれない。

 妊娠以外の理由で病院に行くのは気が引けたけど、夫に相談すると、「まずはちゃんと先生から話を聞いた方がいいんじゃない? 産婦人科に行っておいでよ」と勧められ、すぐに娘を出産した病院に予約を入れた。

 「みーちゃん! 急げー! 予約の時間に遅れちゃうんだ!」
 受診当日、娘をせかし、バタバタと家を出る。

 自転車を飛ばし、病院にたどり着くと、ざっと20人が診察待ち。「げっ……しまった……」。待ち時間をなるべく短くしたかったから予約したのに。

 結局、待つこと1時間半。ようやく診察室に呼ばれ、女性の先生の前に座ると「避妊薬の処方ですね?」と、事務的に言われた。

 「あっ、いや、あの……そのそうじゃなくて……」

 とっさにそう口走った私。

 しまった! 受付で低用量ピルがほしいと伝えちゃったから、そう思われてしまったのかも。

 確かに低用量ピルは避妊薬としても使われるけど、そんなあっさりと片づけられるのはなんだか納得がいかない。私にとってこれは、積年の悩みなのだ。

 待合室で待つ患者さんにはちょっと申し訳ないと思いつつ、私はその日、PMSについてほとんど何も知らないふりをして、生理前のイライラについて一から先生に相談し、ピルを処方してもらった。

 運よく、効果てきめんだった。

 人によって効果は違うみたいだけど、生理痛はなくなったし、これまでがウソのように精神的にも安定した(ように思う)。こんなに穏やかに1か月を過ごしたの……人生で初めてじゃない?!って、思えるぐらい。「自分のイライラをコントールできない」というコンプレックスからも少しだけ解放された。

 そして、誰よりも一番大喜びしたのは夫だ。
 「これで悪夢から解放される! 欠かさず飲んでね」なんて軽口をたたいている。

 低用量ピルはオンライン診療でも処方してもらえる場合もあるようだ。気を使いながら子連れで産婦人科に行く必要もないかもしれない。

 ただ、彼はまだ気づいていない。

 同僚とへべれけになるまで飲み歩いたり、脱いだ服を洗濯機にちゃんと入れなかったり、やたら豪華なランチを一人で楽しんだり。

 どれもこれも「生理前だから、怒られたんだ」と、もはや自分に都合よく受け流せなくなったということを……。

 筆者(アッコさん)プロフィル
 1993年生まれの27歳。中部地方出身。中学時代は「学校がつまらない」と授業をサボり、成績はオール1。その後、私立の専修学校に進学するも不真面目な素行に加え、成績もふるわず、ヤンキーへの道一直線。卒業後、一度は医療事務の仕事に就いたが、遊びたい気持ちを抑えられず退職。職を転々としていたところ、会社勤めをする夫と出会う。都内で夫と2歳の長女と3人暮らし。

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October 29, 2020 at 08:08AM
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