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がん患者が最期に見つける「人生で本当に大切なこと」 - 朝日新聞デジタル

それぞれの最終楽章・がん患者のこころ(8)

がん専門の精神科医 清水研さん

 48歳で乳がんになったMさんには中学生の娘さんがいました。内向的な性格で仲間になじめず、学校を休みがちでした。Mさんが乳がんになると一時的に不登校になりました。

 Mさんは娘に負担をかけていると自分を責め、娘さんの行く末をとても心配していました。しかし娘さんが高校に進んだ後、Mさんの乳がんは再発してしまいます。化学療法を受けましたが、病気は徐々に進行していきました。娘さんは多くを語りませんでしたが、高校に通いながら献身的に家事を手伝ってくれました。Mさんはこの時も、「自分が病気になっていなければ、娘は普通の高校生活を送れるのに」と、後ろめたい気持ちを持ち続けていました。

 娘さんが高校3年の3学期、Mさんのがんは肝臓に多数の転移がわかり、4月を迎えられないかもしれない切羽詰まった状況になりました。自分の命が長くないことを悟り、どうにかして娘さんの卒業式には出たいと願いました。

 願いはかない、Mさんは車いすで卒業式に参加しました。背筋をピンと伸ばして卒業証書を受け取る娘の姿を見て、「あぁ、あの子も立派に成長したんだな」という安心感と、わがままを言いたい時期にもかかわらず親孝行をしてくれた感謝の気持ちとで、涙が止まりませんでした。

 卒業式の後、親子3人で桜の木…

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