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<ひと物語>剣道で第二の人生 11月に入間市長勇退・田中龍夫さん - 東京新聞

「防具を着けて面をかぶるのは6年ぶり」という田中さん=いずれも入間市で

「防具を着けて面をかぶるのは6年ぶり」という田中さん=いずれも入間市で

 「攻めながら打たないと隙が生まれるぞ」「相手が防御の小手を上げた時を逃さず狙いなさい」。十一月末、入間市内の小学校の体育館に集った少年剣士たちに、厳しい稽古を付けたのは田中龍夫さん(68)。二期八年務めた入間市長職を勇退し、剣道を通じて地域の子どもたちに寄り添う「第二の人生」を歩み始めた。

 「公務に追われ、防具を着けたのは六年ぶりだったが、思いのほか動けた」と稽古では軽快な動きを披露。小手を打たれた小学五年の男児は「(打たれて)しびれた。本当に強い」と教士七段の腕前に目を丸くした。

 市長在任中は毎朝四時ごろから十キロのジョギングに始まり、腕立て伏せや腹筋を各三十回、重さ二キロのステンレス製竹刀で素振り百五十回。「余裕ができたら再び面をかぶりたいと、鍛えてきたかいはあったかな」とうなずく。

 剣道との出合いは十歳のころ。十二歳年上で当時四段の兄に道場へ連れて行かれた。打たれれば痛いし、子ども心に初めは好きになれなかったが、技を磨く稽古を重ねるにつれて楽しさも加わり、気付けばのめり込んでいた。

 県立川越高校でも稽古に打ち込み、インターハイ県予選の団体部門で優勝。早稲田大学卒業後、二十八歳で入間市議になり、市議長だった三十九歳で六段を取得。県議に転じた後の四十八歳の時に七段に合格した。

 また、段位とは別に技量、識見ともに優秀と認められた証しの「教士」の称号も与えられた。六十年近い鍛錬で磨いた精神力や判断力は、時に政治家として難しい決断を迫られた場面でも「平常心で対応できた」と自負する。

少年剣士に面を打ち込む田中さん(右)

少年剣士に面を打ち込む田中さん(右)

 十一月半ばに市長を勇退し、今後は週二〜三回、地区の子どもたちにボランティアで剣の道を伝授していくという。技量の向上だけでなく、「子どもたちに寄り添い、何かあった時に『この人に相談してみたい』と思ってもらえる存在になりたい」と意気込む。

 もう一つ目標がある。全国でも剣道人口の0・06%しかいないという八段への挑戦だ。全日本剣道連盟の審査規則で「剣道の奥義に通暁、成熟し、技量円熟なる者」に与えられる最高位。「体力やスピードだけではダメ。心で相手を圧倒しなければ」と田中さん。合格率は司法試験よりも低いとされ、日本の最難関試験に例えられることもあるが、新たな挑戦を楽しみにしている。 (加藤木信夫)

<たなか・たつお> 入間市出身。1981年に初当選した同市議(4期)、県議(5期)、入間市長(2期)を歴任。市長在任中は全市立小中学校の耐震化などを進め、今年11月に勇退。10歳から始めた剣道は教士7段。現在は市剣道連盟名誉会長。市青年会議所の創設メンバーにも名を連ねた。

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