【パリ=白石透冴】フランス元大統領のジャック・シラク氏が26日、死去した。86歳だった。AFP通信などが伝えた。1995年から12年にわたって大統領職を務めた。国連決議のないイラク戦争に反対し、米国の「単独主義」をけん制した。保守政治家として独自外交でフランスの存在感を高めた。大相撲など日本の文化や歴史への造詣が深く、欧米指導者で随一の知日派として知られた。
パリ生まれ。エリート養成校の国立行政学院(ENA)卒。67年に国民議会(下院)議員に初当選した。農相などを経て74年に41歳で首相に就いた。1981年と88年の大統領選では落選したが、95年に初当選した。
訪日回数は大統領任期中だけで40回超。大の相撲ファンで、当時の在日フランス大使館の重要な業務はシラク氏に取り組みの結果を速報することだったという。訪日時にはメモ用紙を片手に観戦を欠かさなかった。
大統領に就任直後に南太平洋ポリネシアのムルロア環礁で核実験を再開し、国際的な批判を浴びた。欧州通貨統合をにらみ「小さな政府」をめざす経済改革に着手したが総選挙で敗退。02年の大統領選では極右政党、国民戦線(現国民連合)のジャンマリ・ルペン党首(当時)と対決し、再選を果たした。
ドイツのシュレーダー首相と蜜月関係を築き、欧州連合(EU)を仏独が主導する今の形をつくりあげた。だが05年の国民投票でEU憲法批准が否決され、外交面での発言力は低下した。一時は再出馬に意欲を見せたが、最終的には「政敵」とも言われたニコラ・サルコジ氏の優位を認め、引退を決めた。晩年は認知症を患い、公の場に姿を現すことはほとんどなかった。
2019-09-26 10:19:26Z
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