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人生何が起こるか分からない 引きこもりの娘を救ってくれたのは…… - 朝日新聞社

全国農業協同組合連合会(全農)では、新型コロナウイルスによる大きな影響を受けた花の生産者を支援する取り組みを行っています。その一環として、連載「花のない花屋」にご協力いただきました。

あなたの「物語」も、世界で一つだけの花束にしませんか? エピソードの応募はこちらから。

米田亜希子さん(仮名) 60歳 女性
愛知県在住
無職

    ◇

今年26歳になる長女は、高校を中退以降、長く引きこもりの生活が続いていました。一時はこのまま就職も、結婚もできないのではないか……。親として、そんな不安でいっぱいでした。

中学生のころは、友達もおり、陸上部でも大活躍。私立の強豪校からも声がかかるほどでした。しかし家庭の事情で公立の高校へ進学することに。そして2年生の途中から、高校へ行けなくなりました。長女は理由について話しません。私立の強豪校へ行けなかったからかとも考えましたが、どうも違うようです。

長女の希望で一度留年し、2年生を2回やることに。でも途中でまた行けなくなってしまい、今度はやむをえず中退しました。大検を取得したのですが、受験した大学には不合格。

その後は完全に引きこもりの生活に。そして長女にとっても、私たち家族にとってもつらい日々の始まりでした。

長女は完全に昼夜が逆転した生活。私と顔を合わせれば、怒り、暴言を吐く。
たまらず精神科病棟に入院させたり、次女の大学受験が控えていた頃には、自宅近くのシェアハウスに住まわせたりしましたが、半年ほどで戻ってきました。自立してほしいとアパートに一人暮らしさせたりしたのですが、毎日のように自宅に泊まりにきていました。

そんな中、長女を救ってくれたのが、今の長女の夫です。中学生の時、彼が長女のクラスへ転校してきました。長女は、帰国子女の彼から勉強を教えてもらっていたように記憶しています。私も名前は知っていました。

高校も同じだったのですが、そこで仲が良かったのかは分かりません。高校中退後、自宅に引きこもっていたのに、どうやって連絡を取り合うようになったのかも、今はSNSが発達して私にはよく分からないのですが……。3年ほど前に長女は家を出て、東京で大学生だった彼の1Kアパートで同居を始めました。

自宅にいた頃とは正反対の、ついうらやんでしまう生活。料理が趣味という彼が振る舞ってくれるごちそうの写真が、長女から届くようになりました。魚も自分でさばけるそうです。あのつらい日々が、うそのようでした。

彼が大学院へ進学し、その後就職したのを機に、昨年結婚。あいさつに来てくれた時、長女のどこを好きになったのか聞いてみたら、「転校してきたばかりの時、声をかけてくれたのがうれしかった」とのこと。人生、何が起こるか本当に分かりません。

将来が不安でいっぱいだった長女が、生涯の伴侶を見つけられたことが、本当にうれしい。今は彼と一緒に、自宅で株の売買をしているそうです。

結婚後は都内の2DKのアパートに引っ越し。築40年でもこんなに高いの?とびっくりしてしまいます。でも2人が仲良く暮らしているなら、それで十分。結婚してもうすぐ1年になります。定職についたこともなく、まだまだ親として心配事も多い長女。だけどそんな娘と人生をともに歩む決断をしてくれてありがとう、の気持ちを込めて、彼に花束を贈りたいです。

人生何が起こるか分からない 引きこもりの娘を救ってくれたのは……

≪花材≫カラー、アジサイ、ミラビフローラ、クレマチスシード、レネゾーン

花束を作った東さんのコメント

娘さんのご結婚から1年、おめでとうございます。SNSで再会を果たしたかもしれないとは、なんだか現代的ですね。ラッパ形の花はカラー、綿毛のようにフワフワしているのはクレマチスシード、花びら6枚のはミラビフローラ、下のふわふわしたのはアジサイです。今回、花材はたくさん入れず、色も白と緑でシンプルに。ですが下はふわっと、上はシャープに、メリハリをつけました。娘さんには大変なことがたくさんありましたが、素敵なパートナーと出会えてよかった。心配事も多いと思いますが、「仲良く暮らしてくれているならば十分」というのが、投稿主さんの素直な気持ちなのかなとも思います。1周年の記念の花束になればうれしいです。

人生何が起こるか分からない 引きこもりの娘を救ってくれたのは……

人生何が起こるか分からない 引きこもりの娘を救ってくれたのは……

人生何が起こるか分からない 引きこもりの娘を救ってくれたのは……

人生何が起こるか分からない 引きこもりの娘を救ってくれたのは……

(写真・椎木俊介)

>>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

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「&w」では、読者のみなさまから「物語」を募集しています。
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。
花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

人生何が起こるか分からない 引きこもりの娘を救ってくれたのは……

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

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PROFILE

椎木 俊介(写真)

ボタニカル・フォトグラファー

2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。

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November 05, 2020 at 08:15AM
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