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難病抱えても「人生は続く」、クローン病の芸人・お侍ちゃんが実践する“その後”の生き方:紀伊民報AGARA - 紀伊民報

 ちょんまげ頭と和装スタイルのお笑い芸人、お侍ちゃん。そんなお侍ちゃんが、指定難病であるクローン病を発症したのは、去年のことだ。「死ぬかもしれない」と落ち込み、1ヵ月の絶食により体重は約15キロ減。そんな壮絶な闘病を経て、テレビ番組で病気を公表し、同じクローン病の患者にも会いに行った。「もしも治ったとしても、そこがゴールではない」と語るお侍ちゃんに、“その後”の人生、そして働き方を聞いた。

【写真】1ヵ月の絶食で体重15キロ減、壮絶な入院生活でもちょんまげ用のロン毛は健在

■病名がわからず「死ぬかもしれない」、命にかかわるほどの炎症も

 バラエティ番組やコントライブなど順調な活動を続けてきたお侍ちゃんだが、昨年、指定難病である“クローン病”を発症。『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)でもそれを告白し、注目を集めた。炎症性腸疾患の一つであるクローン病は、小腸、大腸などの炎症による激しい痛みを伴う症状が特徴で、安部前首相が患った潰瘍性大腸炎とも似た病気。お侍ちゃんに症状が表れたのは、出演予定だったミュージカルの稽古が始まって1週間が経った頃だった。

――最初はどのような症状だったんでしょうか?

 「だいぶ前から予兆はあったんです。ふくらはぎがいきなり筋肉痛になったり、38度くらいの熱が2週間くらい続いたり。いま思うと、それもクローン病の予兆でした。症状が強くなったのは、舞台の稽古が始まった頃。発熱と腹痛に襲われて、最初はインフルエンザかノロウイルスかと思ったんです。病院では胃腸炎と診断されたんですが、薬を飲んでも良くならず、病名もわからないし、正直『死ぬかもしれない』と思いました」

――病名がわからないのは怖いですね。その後は?

 「入院が決まり、回復が見られないため大学病院に移りました。その時点で、炎症の程度を調べるCRPの数値は18くらい。通常は0.3くらいで、『20を超えたら命にかかわる』と言われたので、重症に近い状態だったと思います。精密検査をして病名がわかったときは、やっと治療ができると、ほっとしましたね」

――体重もかなり減ってしまったとか。

 「1ヵ月絶食状態で、約15キロ減りました。クローン病は、とにかく食事制限がきついんですよ。自分で調べたら、『食べられる肉は、鶏肉の白い部分が2週間に1回。白身魚が1週間に1回』と書いてあって、『何を食べればいいんだよ!』って(笑)。入院中に栄養指導もありました」

――なるほど。

 「クローン病は、ここ数年で1.5倍くらいに増えているそうです。症状の似ている潰瘍性大腸炎の患者さんも、22万人以上。このような免疫疾患は増えていると言います。僕は早期発見できたし症状も落ちついているのですが、病気がわかるまで時間がかかって重症化してしまう人も多いとか。中高生の頃から症状が出ていたのに、『ちょっとお腹が弱いんだよね』くらいで病院に行かなかった人が、社会人になってから発症する場合もある。とくに若い女性だと、言い出しづらいですよね。でも、長期にわたる下痢や腹痛などのお腹の悩みも増えているので、一人で抱え込まず、ぜひ病院に行ってほしいと思います」

■テレビでの病気公表に感謝の声、患者同士の交流の必要性

――入院中、退院後はどのように過ごしたんですか?

 「入院中も、やるべきことはハッキリしていたので、意外と冷静でした。最初に『死ぬかもしれない』と落ち込んだぶん、メンタルは明るい方向に向かっていたというか。炎症が収まると頭も回るようになって、『この先、どうしようか?』とも考えられるようになった。幸い薬もよく効いてくれて、去年の3月半ばには退院し、5月初めには仕事に復帰しました」

――仕事への復帰も、簡単ではなかったのでは?

 「そうですね。退院したときは筋力が落ちていて、階段すら降りられない。まずは、仕事よりも日常生活を送れるようになるのが目標でした。ただ、会社にはすごく良くしていただけて。いつから仕事ができるかわからなかったし、病気のことも上手く説明できなかったんですけど、レギュラー番組からも『席は用意しておきます』と言っていただけたのはありがたかったですね」

――昨年8月には、『ザ!世界仰天ニュース』でクローン病であることを公表しました。

 「その前からブログで病気について書いたり、同じ病気の方に個人的に会いに行っていたんです。放送後は、病気に関する問い合わせや、『この病気のことを広めてくれてありがとう』とコメントをいただくことも増えました」

――なぜ、同じ病気の方に会いに行くようになったんですか?

 「自分自身が、クローン病のことをもっと知りたかったからなんです。以前から病気と付き合ってる方とお話しするのは、すごく勉強になることが多くて。最近では、僕自身が教える立場になることもあります。これまでに30人くらいの方とお会いしましたけど、『初めて病気のことを人と話しました』という人も多いんですよ」

――クローン病について話したり、情報交換したりする場所が少ない?

 「そうみたいですね。患者会もあるんですけど、よほど積極的な人でないと、なかなかハードルが高い。その点、患者同士だと、家族や友だちに言えないことも話せるし、理解を深めることもできます。SNSを介したコミュニケーションもいいと思いますが、やっぱり直接会って話すことでわかり合える部分も大きいので」

――現在の仕事の状況はどうですか?

 「以前とまったく一緒ではなく、食に関する仕事はできないことも多いです。ただ、会社からは『不安があれば断っていいし、自分の裁量で決めていい』と言われているので、とても助かっています。できなくなった仕事がある一方、新しくいただける仕事もあるので、“病気になったこと全部がマイナス”ということではないんですよ」

――長期にわたる療養が必要な病気になると、働くことにも支障が出るように感じてしまいますが。

 「たしかに、この病気は一生付き合っていかなくちゃいけないので、患者さんは『絶望しかない』『人生、詰んだ』と考えがちだし、メンタルがやられて無気力になる方も多い。でも、実はそんなことはないと僕は思っています。先日、ある企業の社長さんとも話したのですが、就職するにしても、難病を理由に落とされることはほとんどない、と。それよりも、悩みすぎてストレスを抱えるほうが良くない。自分に合わないというときは、働きやすい場所を求めて転職すればいいと思います」

――病気を抱えながら働くというと、やはり周囲の助けや理解が必要ですよね。

 「ただ、周りに病気のことを100%理解してもらうのは、無理だと思うんですよ。そもそも僕自身だってうまく説明できないし(笑)、『何だかわからないけど、難しい病気なんだね』くらいの距離がいいのかなと。たとえば外食したとき、『これは食べられる?』とイチイチ聞かれると、お互いストレスじゃないですか(笑)。それよりも『わかんないから、食べられるものを頼んで』と言われたほうがラク。僕の場合、周りの芸人の方が病気のこともツッコんでくれるので、そこで助かってる部分も大きいですね。周囲の人たちとの適度な距離感、コミュニケーションの取り方も大事だと思います」

■「もしも治ったとしても、そこがゴールではなく、人生は続く」

――たしかに、そうかもしれないですね。

 「いろんな考え方があると思いますが、もしも治ったとしても、そこがゴールではなく、人生をどう生きるか、どうしたら幸せかが大切だと思っていて。もちろん症状が落ち着くに越したことはないけど、その後も人生は続く。そのときに何をしたいか? どう生きたいかを考えたほうがいいんじゃないいかなと」

――お侍ちゃんは、『伊集院光とらじおと』(TBSラジオ/レギュラーレポーター)や、『マチコミ』(テレビ埼玉/毎週木曜日レギュラー)、ゴー☆ジャス動画『GameMarket』などでも活躍。一方、YouTubeやTwitterでもクローン病に関する情報を発信していますが、これからの目標はありますか?

 「今後も、クローン病と向かいながら生活している人たちの架け橋になれたらしいなと思っています。テレビ、ラジオで話すことで病気のことを広めることにつながるだろうし、僕が元気に活動を続けることで、ちょっとでも励みになったら嬉しいですね」

(文:森朋之)

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