「ワンショー・ランドリー(萬秀洗衣店)」は、来年70周年を迎えるクリーニング店だ。店主のチャン・ワンジ(張萬吉、83歳)と妻のスー・ショーア(許秀娥、84歳)にちなんで名付けられた台湾中部にあるこの店は、チャンがまだ14歳だったときからそこにある。さらに驚いたことに、今年6月に開設されたばかりの夫婦のインスタグラムアカウント(@wantshowasyoung)は、早くも65万人のフォロワーを抱えている。
夫婦がクリーニング店に“置き去りにされた服”を用いてスタイリングした画像をインスタグラムに投稿するきっかけとなったのは、彼らの31歳の孫、リーフ(張瑞夫)による提案だった。新型コロナウイルスによるパンデミックの最中、祖父母の仕事が減ってとても退屈している姿を見かねた彼は、客が忘れていった300点余りの服を活用するアイデアを思いついた。そして、肩パッド入りブレザーやプリーツスカート、コンバース(CONVERSE)のハイトップなど、スーとチャンが若い頃に人気だった忘れ物アイテムを着こなす夫婦を写真に収めることにしたのだ。
「おじいちゃんはスーツが大好きで、いつも洗ってアイロンをかけています」とリーフは話す。彼はアカウントで、祖父母のエピソードや撮影の舞台裏を披露してもいる。
こうして彼らのアカウントは、困難な時代に人々に元気を与える場所となった。さらに、ファッションにおける持続可能性の大切さを忘れ物に新たな命を吹き込むことで発信している彼らの姿勢に、多くのオーディエンスが共感を寄せている。
リーフに、祖父母の反応や夫婦愛の秘訣、服の再利用が重要な理由について話を聞いた。
──このファッションプロジェクトについて祖父母に話した際、彼らの反応はどうでしたか?
おじいちゃんはすぐに「いいよ」と言ってくれましたが、ここまで話題になるとは思いもよりませんでした。実はおばあちゃんは、最初はあまり乗り気じゃなかったんです。アイデアが気に入らないのではなく、自分の見た目に自信がなかったようで、「写真映えするには髪を整えなくちゃ」と気にしていました。
──これまでで最も面白かった舞台裏のエピソードはありますか?
最初の投稿のために店の外で撮影していたとき、ポーズをとる二人に向かって近所の人が「とてもクールだね!」と声をかけたんです。二人は恥ずかしくなったみたいで、「これは全部、孫のアイデアなんだ!」と弁解して、自分たちには関係ないふりをしようとしたのです(笑)。もちろん、今ではとても誇りに感じています。
──あなたが写真を撮るとき、彼らはどんなポーズをするのですか?
撮影時のポーズをアドバイスする必要があるかもしれないと思っていたのですが、驚いたことに、二人ともすぐに準備を整えて、「キマってる?」と聞いてきました。間違いなく、一番面白い瞬間でした。撮影しているときに互いの髪を整えたり、汗を拭いたりしてあげていました。愛情表現を写真に収めたいと思って「外でキスしている写真を撮ってみる?」と提案したときの反応も面白かった。最初はちょっと恥ずかしそうにしていましたが、その後、互いの頬に軽くキスし始めました。
──祖父母のお気に入りのスタイルは?
おじいちゃんはスーツが大好きで、常に洗ってアイロンをかけています。クリーニング店のオーナーとして、彼は人に会うときは身なりと整えるべきだと考えているんです。それは彼なりのプロ意識の表れです。そのため、出かけるときはいつもパリッとアイロンのかかったスーツを着ると言い張ります。働くときは動きやすいように、半ズボンとシンプルな白いベストを愛用しています。
おばあちゃんは、とてもおしゃれな人です。若い頃に集めたアイテムがぎゅうぎゅうに詰まった大きなワードローブが今でも2つあります。当時のセレブリティたちが着ていたのと同じようなスタイルを好んでいたようです。でも今は、快適性を重視したスタイリングが好きみたい。欧米ブランドのTシャツを着たり、ポロシャツにパンツとスニーカーを合わせたりするのがお気に入りです。ショッピングのときに楽なのだそう。
──おじいちゃんがおばあちゃんにしてあげた、素敵なエピソードはありますか?
彼らは、互いをどれだけ思いやっているかを表現するのがそれほど得意ではありませんし、思いやりに満ちた行動をとっても、それを認めようとはしません。おじいちゃんが何か素敵なことをしたかどうかは分かりませんが、服をお客さんに配達した後、よく「おばあちゃんとシェアしたかった」と言いながら食料やハーブを持って帰ってきます。おじいちゃんは自己表現があまりうまくないかもしれませんが、外出したときにはいつもおばあちゃんを待ってあげて、手を握ります。「転ぶといけないから」と言いますが、それが彼らなりの愛情表現なのだと思います。
──おばあちゃんは、それに対してどんな反応をするのですか?
結婚以来、おばあちゃんはおじいちゃんと二人で食事しています。昼食も夕食も、いつもおじいちゃんが戻ってくるのを待っていて、普段は後片付けも一緒にやります。おばあちゃんは結婚前、公務員として働いていました。でも、おじいちゃんと一緒に経営を支えるために安定した仕事を辞め、年金も諦め、田舎に移り住んでクリーニング店をやっていくことを選択したのです。
──ワンショー・ランドリーの今後のプランは?
インスタグラムの撮影で祖父母の時間が埋まることを願っています。このアカウントを通して、二人の仕事の重要性を伝えることができるのは嬉しいことです。今後はこれまでの投稿に加えて、フォロワーの人々が服を賢く買って、正しく洗う方法を学べるよう、二人に洗濯に関するヒントを教えてもらう予定です。そうすれば、自分が持っている一つひとつの服の価値がより理解できるようになると思うんです。
また、同じくクリーニング店を営む仲間にも引き合わせてあげたいと思っています。以前はよく集まっていましたが、年をとって体が弱くなるにつれ、それほど簡単ではなくなりました。インスタグラムで近況を報告し合ったり、他のクリーニング店のオーナーたちを元気づけることができたらいいなと考えています。また、祖父母のように一生懸命働いているクリーニング店が自分たちの周りにもあるんだと知ってもらえれば、素晴らしいですね。
置き去りにされた服の所有者に、服を取りに来てもらえるようお願いするのも大事ですが、それでも引き取り手がいなかった場合は、忘れ物を安値で販売してクリーニング費用の足しにしています。このプロジェクトが店を助けるだけでなく、これらの服を家に返したり新しい持ち主を見つけることで、ファッションの持続可能性にも貢献できればと思っています。
Text: Tiffany Leu
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August 21, 2020 at 10:17AM
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