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武藤敬司がギャンブルを辞めた理由「人生はバクチじゃないほうがいい」 - スポーツナビ

長いプロレス人生で新日本プロレスから全日本プロレスへの移籍など人生自体がバクチとなり、麻雀などのギャンブルでは興奮しなくなったという武藤

長いプロレス人生で新日本プロレスから全日本プロレスへの移籍など人生自体がバクチとなり、麻雀などのギャンブルでは興奮しなくなったという武藤【Photo by Masashi Hara/Getty Images Sport】

 新日本プロレス時代の趣味といえば麻雀だった。坂口(征二)さんとツモる機会が多かった。坂口さんは大の麻雀好きで自宅のガレージを改造して雀荘スペースを作ってたくらいだから。そうすると心おきなく朝までできるからね。

 シリーズ中に試合を終えて食事をして飲みにいく連中がいる一方で、坂口さんは酒場に行かないで「じゃあちょっとやるか?」と誘ってくる。旅館に泊まる夜は、そのまま別室で麻雀大会。坂口さんとか星野勘太郎さんとか先輩連中と一緒にやることが多かった。

 昔の新日本は、それなりに羽振りが良かったんだ。シリーズが終わってから受け取る給料は茶封筒に入っていて、現金支給。星野さんなんて封筒が立ってたくらいだよ。反対に俺なんかペナペナで、すぐに倒れてしまう。それなのに星野さんや坂口さんは俺を誘う。早速おケラにされちまうことが何度もあったね。

一世一代の大バクチ

 とはいえ俺の一世一代の大バクチは、全日本プロレスへの移籍。

 俺の名声も信用も財力も全てがかかった大一番だった。あの大きなバクチを打ってから麻雀をする機会がめっきり減った。団体を移ったのでメンツが揃わなくなったという理由もあるけど、人生自体がバクチになるとギャンブルをやってても興奮しなくなった、というのが最大の理由だ。

 ちょっとした元ギャンブラーの自分から言わせてもらう。

「人生はバクチなのか?」

 いや、そうじゃない方がいいと俺は思う。いちかばちかの勝負なんて、できるだけ避けた方がいい。人生は勝てる闘いをした方がいいんだ。事前に研鑽(けんさん)を積んでおいて、合理的に勝てる方法を探した方がいい。遊びの範疇を超えて、賭けごとはしない方がいいよ。

 会社の経営について何も知らずに社長になった俺は、何度もお金の怖さに怯えたからね。毎月、毎月、支払い額が足りなくて頭を抱えてた。「もうダメだ」と天を仰ぐ時期もあった。

 でもそんな時には救いの神というか、融資元が見つかるとか、助けてくれる人が現れて一難を逃れることができた。ただそれも俺はたまたま運が良くて今があるだけで、一歩間違ったら全てを失ってたよ。

好奇心はチャンスの源

 冒険できるのは好奇心が芽生える時だ。

 1988年にプエルトリコに遠征した時も現地は治安が悪いと聞いてても、「むこうのマットはどうなんだろう?カリブ海の島で暮らすってどんなだろう?」という興味が湧いたからだった。

 実際にプエルトリコではブルーザー・ブロディの刺殺事件が起きた。むこうのリングに上がって半年くらい経った頃のことだった。しかも犯人が団体のブッカー(マッチ・メイカー)であり、俺のライバルで毎晩闘ってたホセ・ゴンザレスだという。

 あの時はビビったな。他のアメリカ人レスラーも「もうここじゃ試合をしたくない」と言ってたから、俺も急いでプエルトリコを離れてテキサス州のダラスのリングに移った。でもダラスでのファイトを見ていた関係者がいて、その後WCWにスカウトされることになった。そういう意味では好奇心に誘われてむこうに行って良かったと思う。その辺は悪運が強かったんだろうね。

 好奇心を大事にして生きていくと、思いがけないチャンスが待っている。俺はそういう生き方が好きだ。ただ危険を察知したら、その場所を離れた方がいい。本当に強いギャンブラーは「今回は負けだ」と予感したら、さっさと撤退するもの。引き際が肝心だってことをよく知っている。であれば、安心な時も危険を感じる時も、常に心のアンテナを張って、運やツキを敏感に察知した方がいい。

なるべくいい方に考える

 俺はもともと人生を勝ち負けでは捉えていないかもしれない。

 そもそも負けることは考えない方がいいよね。なるべくいい方に、いい方にと考える。俺、マーフィーの法則とか信じてるからさ(笑)。

 ポジティブ・シンキングは大事だよ。プロレスの技術だって、機転が利いたアドリブが出せた時は、マーフィーの法則のおかげだなって思っちゃう。映画を見てもドラマを見ても、みんなプロレスの参考にできる時があってさ。「あ、これは使える」なんて考える。そういう瞬間は忘れないようにしてるね。

 俺の結論としては、どんなギャンブルよりも人生という真剣勝負の方が面白いってこと。色々あるから大変だけど、人生は一度きりしかないものだから。

 もしもギャンブルが止められなくて困っている人がいたら、自分の実人生の中に自分を賭けられるものがあるかどうか、問い直してみるのも一案かと思うよ。

※本記事は書籍『生涯現役という生き方』(KADOKAWA/武藤敬司:第3章:どんなギャンブルよりも人生という真剣勝負のほうが面白い)からの転載です。掲載内容は発行日(2016年6月24日)当時のものです。

<第2回「武藤敬司、思いがけない熱狂を生む方法」は6月2日に掲載>

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